月下の誓約
紗也は言い出したら聞かない。
ここで押し問答になったら、その方が睡眠時間を削られてしまう。
和成は諦めて嘆息した。
「何でしょう?」
上目遣いに和成を見つめて、不安げに瞳を揺らしながら紗也が尋ねる。
「私のこと、好き?」
ドクリと鼓動が脈打って、和成は一瞬目を見開いた。
頭をもたげた捨てるべき想いを押さえ込み、静かに笑んで答える。
「好きですよ」
途端に紗也は笑顔と共に安堵のため息をもらした。
「よかったぁ。私、戦の時和成にいっぱい迷惑かけたから嫌われたんじゃないかと思ってたの。塔矢はそんなことないって言ったけど気になって眠れなかったから」