月下の誓約
「あなたに迷惑かけられるのは普段から慣れています。今さらそれが原因で嫌いになったりしませんよ。それよりも真夜中に徘徊なさる事の方が問題です」
「ちょっと! 説教ついでに色々失礼なんだけど!」
むくれてわめく紗也に、和成はクスリと笑う。
「それに、こんな真夜中に押しかけて、思い詰めた顔であんな事訊かれたら、愛の告白かと思ってびっくりするじゃないですか」
紗也は面くらったように目をぱちくりさせた。
「あ、そっか。そんな風にも聞こえるわね」
そして、いたずらっぽい目で和成を見上げる。
「そう思っちゃった?」
「思いませんよ。思ってたら好きですなんて即答しません」
「なぁ~んだ。つまんない。惚れた弱みにつけ込んで色々わがまま聞いてもらおうと思ったのに」