月下の誓約


「私も和成が好きだからね」


 必死に平静を装って、淡い笑みを刻み和成は答える。


「光栄です」


 手を振る紗也の姿が門の向こうに消え、施錠された音を確かめると、和成も自室に戻った。

 部屋に入り戸を閉めた途端、和成は力が抜けたように戸口でしゃがみ込む。
 刀で身体をささえるようにして大きくため息をついた。


「……マジ、キツイ。俺の方が眠れなくなったっつーの」


 のろのろと立ち上がり、枕元に刀を戻す。


「告白だなんて思ってませんけどねー」


 投げやりにつぶやきながら、寝台の上に身体を投げ出した。
 ごろりと横を向き、窓の外に見える傾きかけた月に尋ねる。


「”好きですよ”って、自然に言えたかな……」


 そのまま目を閉じて頭から布団をかぶり眠る努力をした。

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