月下の誓約
『署名がきいたらしいけど、頭の固そうな官吏の上層部がよく首を縦に振ったよなぁ』
「あ、おまえもしかして知らないのか?」
貧乏な杉森国には余分な人を雇う余裕がない。
そのため、戦のない時手空きとなる軍人たちが、城の官吏を兼務していた。
城内官吏の三分の一は軍人で、部隊長たちは官吏の上層部に当たる要職に就いている。
『なんだ。そうだったんだ。そりゃ、多数決に強いよな。
いや、うちって自分からよそに攻め込んだりしないからさ、ヒマな時ホントにヒマじゃん? 城勤めの軍人って何してんだろって、ずっと不思議だったんだよ。これで謎が解けた。人手不足様々だな』
「あぁ」
『でさ。さっそくだけど、約束果たそうと思って。俺、三日後に休みなんだけど、おまえどう?』
「あぁ、俺も休み。飲みに行くんだっけ。城下にもどるのか?」
『おぅ。それで、おまえどっか店探しといてくれよ』