月下の誓約
「それって、やっぱり……」
言い淀む和成に、右近が楽しそうに答えた。
『いい女が来そうなとこ』
あまりにも予想通りすぎて、和成は思わずため息混じりに言う。
「俺がいればいいんじゃなかったっけ?」
『それは第一条件だ。女は追加条件。おまえがいると女が寄ってくるし』
「俺はエサか。でも俺、いい女が居そうな店なんて知らないし。減俸くらったからそんな高そうなとこ行けないし」
和成が愚痴をこぼすと、右近は慌てて訂正した。
『バカ! 間違えんな! 居るとこじゃなくて来そうなとこだ。いくらいい女でも玄人にちやほやしてもらったって、当たり前すぎて嬉しかねーよ』