月下の誓約


「それって、やっぱり……」


 言い淀む和成に、右近が楽しそうに答えた。


『いい女が来そうなとこ』


 あまりにも予想通りすぎて、和成は思わずため息混じりに言う。


「俺がいればいいんじゃなかったっけ?」

『それは第一条件だ。女は追加条件。おまえがいると女が寄ってくるし』

「俺はエサか。でも俺、いい女が居そうな店なんて知らないし。減俸くらったからそんな高そうなとこ行けないし」


 和成が愚痴をこぼすと、右近は慌てて訂正した。


『バカ! 間違えんな! 居るとこじゃなくて来そうなとこだ。いくらいい女でも玄人にちやほやしてもらったって、当たり前すぎて嬉しかねーよ』

< 171 / 623 >

この作品をシェア

pagetop