月下の誓約


『おー。連れて来い。おまえの初友見てみたい』

「だから、違うって」


 なんだか照れくさいので否定してしまったが、それはそれで慎平には失礼かなと和成は思った。

 話がついたので電話を切ろうとして、塔矢から”釘を刺しとけ”と言われたことを思い出す。


「あ、そうだ。右近」


 話しかけて少しためらう。
 和成の紗也に対する想いに、右近が気付いているという確証はない。
 どうやって確認すればいいのか考えながら、もうひとつの疑問が頭をよぎった。
 右近ならわかるかもしれない。


「ちょっと訊いてみるんだけど、抱きつかれてドキドキする女としない女の違いってなんだと思う?」

『なんだ。そんなの決まってんじゃねーか』

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