月下の誓約
「なんでわかるんだよ」
『おまえに抱きついて、しかもそれをおまえが気にする女って紗也様しかいないだろ。あ、もしかしておまえ、やっと自分で気が付いたのか?』
やはり右近は勘付いていたようだ。
思いがけず確認できたが、自然にため息がこぼれる。
「なんか、おまえには何もかもお見通し過ぎて薄気味悪い。けど、この話は俺以外にはするなよ。紗也様に迷惑がかかる」
『あたりまえだろ、こんなおもしろいネタ。よそでバラしたらそれきりおしまいじゃないか』
「ってか、俺にもするな」
ムッとしながら釘を刺した後、和成は改めて尋ねる。
「結局、答えは教えてくれないのか?」
『簡単じゃないか。少しは自分で考えろよ』