月下の誓約

 16.斬る覚悟、守る決意



 午後二時の少し前、仕事にキリを付けた和成は、刀を持って道場に向かった。

 道場に着くと午後二時ちょうど。
 広い道場にはまだ誰もいなかった。

 城内の仕事の都合があるので、全員が同じ時間に集まることはめったにない。
 二時ちょうどには誰もいないことが多かった。

 少しして紗也がやってきた。
 道場を見渡して和成に尋ねる。


「ひとりなの?」
「そのうち誰か来ると思いますよ。真剣がご覧になりたいんでしたね」
「うん」


 近付いてくる紗也を和成は手で制した。


「危険ですのでそのままそこでお待ち下さい」


 紗也が立ち止まるのを見届けて刀を抜く。
 そして紗也の右手に移動し、彼女の前に刀を立てて差し出した。

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