月下の誓約
「離しますよ」
声をかけて和成が手を離す。
紗也の両腕にズシリと刀の重みがかかった。
「ホントだ。重いね。こんなのよく片手で振り回せるわね」
「片手で振り回す事はあまりないですけどね」
笑いながら答える和成を、紗也は目を輝かせて見上げる。
「ねぇ。私にもできるかな?」
「何のことですか?」
「ゆうべ話したでしょ? 護衛に関係ある話って。私に剣を教えて欲しいの。和成にまかせっきりじゃなくて、少しは自分で自分の身を守れるようになりたいから」
和成は無表情のまま、紗也に手を差し出た。
「お渡し下さい。重いでしょう」