月下の誓約


「和成殿、助けてください。今日は運悪く佐矢子くんが休みで、私ひとりでは手が回らない状況です」


 戦の時とか、情報処理部隊長が不在の折、部長代理を務めている女性官吏が今日は休みだという。
 そのため城内各部署から殺到する苦情や問い合わせの対応に追われていて、肝心の情報復旧作業に着手できないらしい。


「私は何をお手伝いしましょうか?」

「一応、障害についてのお知らせは一斉電信で行ったので、もう少ししたら落ち着くと思いますが、それまでの間、復旧作業の段取りと指示をお願いします」

「わかりました。ところで犯人の目星は?」

「あ……はぁ……まぁ、その……」


 部長が言い淀む様から、物的証拠も挙がっている事を和成は確信する。


「名前を挙げにくい人物なんですね。私も先ほど挙動不審の人物を見かけました。そちらも私におまかせ下さい」

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