月下の誓約
「尊敬してもらえるのは嬉しいんだけど、へりくだってもらうほど私もエラくはないし」
「エラいと思いますけど。この春入ったばかりの私から見れば」
尚も食い下がる慎平を見上げながら、和成は腕を組んでうなる。
「う~ん」
そしてふと閃いた。
「じゃあ、私も少しくだけよう。今後慎平には右近と同じようにタメ口でいくから」
「は?」
慎平がきょとんとして目を見張る。
和成は苦笑を湛えて説明した。
「実はさ。俺、所属部隊じゃ一番下っ端だからタメ口きける相手がいないんだ」