月下の誓約


 紗也が何を言っているのか納得した和成は平静を取り戻した。
 いつもの不機嫌顔になり、紗也に毅然と言い放つ。


「あたりまえです。真夜中に徘徊なさるなど言語道断です。私はあやうく守るべき対象を斬り捨てるところでした。業務に支障を来す事をなさっては困ります」


 しかし紗也はひるむ事なく言い返した。


「真夜中に殿方の部屋を訪れるとは何事かと延々二十分も説教されたのよ! 和成のとこなんだから、いいじゃないの!」


 キッパリと断言する紗也に、和成は大きなため息をつく。


「どうして私だといいんですか」


 二人の様子を黙って見ていた塔矢も同時にため息をついた。
 そして和成に助け船を出す。

< 192 / 623 >

この作品をシェア

pagetop