月下の誓約


「残念でした。ここは私の部屋の一部だもん。徘徊してるのは和成の方よ。何してるの?」

「月を見ていました」

「月?」


 紗也はチラリと月に目を向けた後、首を傾げて和成に尋ねた。


「和成は月を見るのが好きなの?」
「はい。戦場で見る月は特にきれいだと思います」
「ふーん。私もこの間見てみればよかったな」


 そう言って夜空を見上げた紗也の横顔を、月の光が青白く照らす。
 月光を浴びて静かに微笑むその表情は、昼間よりも少し大人びて見え、和成をちょっとだけドキリとさせた。


「紗也様は何をなさってるんですか? 自室の庭とはいえ、こんな時間に」


 問いかけられて、紗也は月から和成に視線を戻す。

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