月下の誓約
それを聞いて紗也がパッと笑顔になった。
「和成も見たの? だったらわかるでしょ? あんな偽物の合成写真より金髪にした本物の方がずーっとかわい……」
そこまで言って、紗也は慌てて両手で口をふさぐ。
和成は益々不機嫌顔になって怒鳴りつけた。
「絶対に染めません! なんで私が偽物のマネをしなきゃならないんですか! 私は塔矢殿に用事があるんです。邪魔しないでください」
紗也を避けて塔矢の机に向かおうとした時、塔矢がこちらを見てため息混じりに言う。
「和成。何度も言わせるな」
「はい。すみません」
和成は振り返り、紗也に頭を下げた。