月下の誓約
2.中途半端
昼休みが終わると同時に、和成は経理の会議室を訪れた。
声をかけて部屋を覗くと、塔矢はすでに席について待ち構えている。
「おう、来たか。ほら」
そう言って塔矢は、缶に入った茶を和成に差し出した。
「あ、すみません」
礼を言って茶を受け取った和成は、塔矢の向かいの席に着く。
塔矢は缶の茶を一口飲んで、いきなり用件を切り出した。
「技術局からおまえに応援の要請が来た。来月から始まる軍用無線電話の新規開発案件だ」
「技術局ですか? 私はそういう基盤とか、技術系の知識はほとんどありませんけど」