月下の誓約
「基盤そのものじゃなくて、それに組み込む命令の方らしい」
「あぁ、それならなんとか。でも私は技術局の方に面識はないはずですが」
首を傾げる和成に、塔矢は苦々しげに顔をしかめて言う。
「電算部の部長が人員をよこせと言われて推薦したらしい。ったく、自分の部下を使えっての」
和成がクスクス笑っていると、塔矢は真顔になって問いかけた。
「で、おまえ受けるか? 受けるんだったら来月から一年間、軍事と紗也様の護衛以外の仕事は全部切る事になるぞ」
和成は椅子の背にもたれて、茶を飲みながら天井を見上げる。
「うーん。即答しなきゃダメですか? 組み込み系には興味あるんですけどね。技術局には軍人がいないから、みんな専門に仕事してるじゃないですか。私だけ兼任だと足を引っ張る事になるかもしれませんし……」