月下の誓約
「出歩くことをとやかく言ってるんじゃない。丸腰でうろつくなと言いたいんだ」
「え? でも城下といっても城からほんの少しのあたりですし」
苦笑する和成を、塔矢は真顔で見据えた。
「おまえは自分の価値をわかっていない。あの三面記事は他国がおまえに注目している証拠じゃないか。おまけに、面は割れていないにしてもおまえのその”かわいい”容姿が情報として流れてるってことだろう」
和成は目を伏せて肩を落とす。
「すみません。真面目な話の腰を折って申し訳ありませんが”かわいい”って真顔で言わないで下さい」
「笑って言えばいいのか?」
「そうじゃなくて。言わないで下さい」
大きくため息をついた後、和成は気を取り直して問いかけた。