月下の誓約
「あんな気の強い人でも手紙を直接自分で渡したり、口で伝えたりするのはためらうもんなのかな」
「そりゃあ、和成殿に告白するのは勇気がいると思いますよ」
「なんで? 俺なんて誰にも相手にされてないのに。城内勤務になってから手紙もらったりするのって初めてだぞ」
不思議そうに尋ねる和成に、慎平は呆れたようにため息をついた。
「何言ってんですか。右近殿も言ってましたけど、本当に自分の事わかってないですよね」
和成は少しムッとして問い返す。
「じゃあ、俺ってどんな奴?」
慎平はニッコリ笑って胸を反らすと、まるで自慢でもするかのように得意げに言う。