月下の誓約
急いで自室に戻り電話を手に取る。
和成が寝台に腰掛けて応答すると、右近の声が聞こえてきた。
『よう。おまえ明日休みだろ? ヒマだったらつき合ってほしいんだけど』
「悪い。先約がある」
即座に断る和成に、右近が驚いたように尋ねる。
『先約? おまえがヒマじゃないって珍しいな。慎平?』
「いや。電算部の女の子」
それを聞いて右近が頭の天辺から声を張り上げた。
『女?! おまえが?! マジ?! なんで?! 紗也様は?!』
「うるせーよ。大げさに騒ぐな。紗也様は関係ないだろ」
不愉快そうに顔をしかめて、和成は佐矢子につき合う羽目になった経緯を右近に話す。