月下の誓約
4.危険な逢瀬
翌日、和成は約束通り、城下中心部にある商店街の入り口に立っていた。
約束の十一時にはまだ少し時間がある。
程なく佐矢子がやって来た。
いつもは後ろでひとつに束ねている髪を下ろし、髪や耳に飾りを付けている。
明るい色の着物を着て、赤い紅を差した佐矢子は城内にいる時よりもずっと華やかに見えた。
「お待たせしてすみません」
「いえ、それ程は待っていません。いつもと雰囲気違いますね」
和成が見たままの感想を口にすると、佐矢子は少しはにかんだように上目遣いで見上げる。
「おかしくないですか?」
「よくお似合いですよ」
そう言って和成は目を細めた。
佐矢子も嬉しそうに目を細める。