月下の誓約
「これでよし。飲み終わったら行きましょう」
操作を終えた和成は電話を懐にしまい、飲み物を掲げて見せた。
「はい。もう少し待って下さい」
佐矢子があわてて飲み物を口にする。
「あわてなくていいです。ゆっくり休んでいきましょう」
そう言った後、和成は再び耳打ちした。
「塔矢殿が来るまで少し時間がかかります。ゆっくりしてください。あなたが聡明な方で助かりました。紗也様だったらきっと無駄に騒いで台無しにするところですよ」
和成を横目で見ながら佐矢子は尋ねる。