月下の誓約
それを聞いた和成は、
「そんな事だろうと思った」
と言うと、近寄ってきた男の腹を思い切り蹴り上げた。
低くうめいて前のめりになった男の腰から刀を引き抜き、振り向きざまに後ろから取り押さえようとしていた男を斬り捨てる。
飛び散った返り血と倒れかかってきた身体を素早くよけ、佐矢子を追ってかけ出した男に追いつき、背中から斬り付けた。
地面に伏した男の背中を踏みつけて止めを刺すと、和成は道の先に視線を向ける。
佐矢子の姿はすでに見えなくなろうとしていた。
ひとまず安堵して振り返った和成は、刀を構えて残る三人と対峙する。
腹を蹴られてうめいていた男は、奪われた刀の代わりに和成の刀を握っていた。
統率者は憤怒の形相で歯噛みする。
「おのれ小僧! 軍師ふぜいがナメたマネを!」
和成は呆れたように深々とため息をついた。