月下の誓約


「だから違うって言ってるのに」


 そしてニヤリと笑い、統率者を窺う。


「でも、いい事聞いたかな。そちらの軍師ふぜいはナメたマネができないんだね」


 彼は答えず、残る二人に命令した。


「やれ! ただし殺すな」


 命令と同時に、二人が同時に和成に向かって突進してくる。


「手加減ありがとう。でも俺は生かして帰すつもりないから」


 そう言って和成は、二人の間を縫うように駆け抜け、瞬く間に切り伏せた。
 あまりの素早さに、統率者は和成の後ろで倒れた二人を呆然と見つめている。

 その隙に和成が、彼の眼前に迫っていた。
 ハッとして刀に手をかけた刹那、統率者は声を上げる間もなくその場にくずおれていた。

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