月下の誓約


 刀を地面に突き刺して、和成はポツリとつぶやく。


「……切れ味悪っ。ちゃんと手入れしろよ」


 そして周りの惨状を見渡した後、大きくため息をついた。


「なんで城下で人斬りしなきゃなんないんだか……」


 倒れた男の手から自分の刀を回収し、和成は彼の外套の下を探る。
 捕らえるのが目的なら、何か用意しているはずだ。
 案の定、取り縄を発見。

 捕り縄と手ぬぐいを奪って、最後に仕留めた統率者のそばに和成はしゃがんだ。

 うつ伏せに倒れている彼の髪を掴んで頭を持ち上げると、口の中に手ぬぐいを詰め込みながら顔を覗き込む。


「仲間をこんなに死なせたんだ。あなたには責任を取ってもらうよ」

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