月下の誓約
探るように見つめる佐矢子を、心の動揺を押し隠して、和成は挑むように見つめ返す。
「そんな風に見えましたか?」
「ええ。その方の事を何度も話題にしましたもの。普通女の子と一緒にいる時は他の女の話はしないものですよ」
「すみませんでした。女性の扱いになれてませんので」
笑顔で躱す和成に、佐矢子は核心を突いてきた。
「あなたの想い人は紗也様ですね?」
内心焦りながらも、和成はあくまでとぼける。
「ありえません。そんな恐れ多い事。私の一番身近にいる方だから、つい話題にしてしまっただけです。それとも他に根拠はあるんですか?」