月下の誓約


 大きく目を見開いて、佐矢子は和成をまじまじと見つめた後、プッと吹きだした。

 そして次第に、声を上げて笑い出す。
 和成は怪訝な表情で、彼女の笑いが収まるのを待った。
 ところが一向に収まる気配はない。

 理由のわからない和成は、少しムッとしながら尋ねた。


「何がそんなにおかしいんですか?」


 胸元を押さえて、笑いをこらえながら佐矢子は答える。


「だって、一緒にいても私に心が傾く事は一生ないと、あなたは断言したんですよ。ここまで徹底的にふられると、むしろ清々しいくらいですもの」

「すみません。また心ないことを言ってしまったみたいで」


 和成は気まずそうに佐矢子から目を逸らす。

 その隙をついて佐矢子は和成の胸に手を付くと、少し背伸びをしながら頬に軽く口づけた。

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