月下の誓約


 林の奥から先輩隊員が感嘆の声を上げる。


「相変わらず見事だなぁ。俺、峰打ちなんてできねぇし。前線に戻って来いよ、和成」


 それを受けて和成は塔矢にお伺いをたてる。


「あんなこと言ってますけど?」
「却下! おまえが剣の腕を上げろ」


 塔矢に一蹴され、先輩隊員がわめいた。


「げーっ。やぶ蛇ーっ」


 塔矢はそれを横目に、笑いながら和成に言う。


「おまえが女連れとは珍しいな」
「複雑な事情があるんですよ。いつから見てたんですか?」
「口づけのあたりから」
「え?」

< 270 / 623 >

この作品をシェア

pagetop