月下の誓約
林の奥から先輩隊員が感嘆の声を上げる。
「相変わらず見事だなぁ。俺、峰打ちなんてできねぇし。前線に戻って来いよ、和成」
それを受けて和成は塔矢にお伺いをたてる。
「あんなこと言ってますけど?」
「却下! おまえが剣の腕を上げろ」
塔矢に一蹴され、先輩隊員がわめいた。
「げーっ。やぶ蛇ーっ」
塔矢はそれを横目に、笑いながら和成に言う。
「おまえが女連れとは珍しいな」
「複雑な事情があるんですよ。いつから見てたんですか?」
「口づけのあたりから」
「え?」