月下の誓約
「だって気になったんだもん。和成最近私を避けてるし。だから噂が本当だったら好きな人ができたから他の女の子を避けるのかなって思ったの」
「避けてなんかいませんよ。ただ仕事が忙しいからあまりお話する機会がなかっただけです。無用に気を揉ませてしまったようですね。紗也様、恋心なんておわかりにならないでしょうに」
子供扱いされたようで、ムッとしながら紗也が反論した。
「相変わらず失礼ね。私だって好きな人くらいいるもん!」
胸の奥がざわついて、和成は黙って紗也を見つめる。
ふと見ると塔矢も笑うのをやめて真顔でこちらを窺っていた。
「初耳ですね。城内にいるんですか?」
心が騒ぐのを押さえつつ、平静を装って尋ねると、紗也は少し照れくさそうに上目遣いで和成を見上げながら言う。