月下の誓約
3.秘密の宝物
夕方になり、会議室には再び皆が一堂に会した。
まずは仕切り直しとなった戦略が、先ほどと同じように和成によって説明される。
戦略の善し悪しについて、紗也は全く分からない。
けれど昼に聞いたものとは部隊の配置から進軍の方法から全て変わっている事は分かった。
今度は室内に妙な空気が流れる事はない。
皆も納得しているのだろう。
説明を終えた和成が席に着く。
誰も異を唱える者はいなかった。
塔矢が懐から無線電話を取り出し操作する。
「暗号化同時通信の番号が変更になった。登録し直してくれ」
それを聞いて部隊長たちが一斉に懐から電話を取り出した。
紗也は無線電話を持っていない。
一人だけ置いてきぼりを食らったようで、紗也は焦りながら塔矢の電話を指差した。