月下の誓約
和成は大げさにのけぞった。
「げっ! 本当にいるんですか?! 女軍師」
そして、塔矢の腕を掴んで訴える。
「宣戦布告されたら、和平交渉に持ち込みましょう」
「最初から逃げ腰になるな、天才軍師のくせに。うちはどことも同盟しないと言っただろう」
和成を軽くあしらって、塔矢は本題に戻った。
「こんな話するために声かけたんじゃなかった。おまえ技術局の仕事はどうする?」
「受けます」
塔矢は意外そうに少し目を見開く。
「彼女が一緒なんだろう? いいのか?」
「彼女は気にしないと言いました。彼女がかまわないのなら私も気にしない事にします。元々、手紙には今まで通りでいてくれと書かれてましたし」
「そうか。じゃあ伝えておく」
そう言って塔矢は、執務室へと引き返していった。