月下の誓約
7.機械人形
電算室に入ると”気にしない”とか”かまわない”と言っていられそうもないような状況になっていた。
入口に顔を出しただけで、皆が和成に注目する。
紗也の耳にまで入っていたという事は、おそらく城内に噂は広まっているのだろう。
素知らぬフリをして和成が自分の席に着いた途端、慎平が駆け寄って来た。
「和成殿。佐矢子殿と婚約したって本当ですか?」
「はぁ?」
のけぞった拍子に、思わず椅子から転げ落ちそうになる。
「恋愛する気ないって言ってたのに、いつの間にそんな事になっちゃってたんですか」
「そんな事になっちゃってないよ。尾ヒレ付きすぎだろ。その噂」
和成が呆れたようにため息をついて項垂れた時、周りでヒソヒソ声が聞こえてきた。
顔を上げると、そばに佐矢子が立っている。