月下の誓約
苦笑しながら頭をかく慎平を、和成が他人事のように笑っていると、佐矢子は和成にも注文を付けた。
「和成様は三日前にお願いした変更仕様書を今日中に提出して下さい」
「はい。必ず」
素直に返事をする和成に、佐矢子は申し訳なさそうに苦笑をこぼす。
「他の部署のお仕事もあるのに急がせてすみません。今月中に手持ちの仕事をどうしても片付けないといけないので」
「あぁ、来月から技術局ですよね。私も受ける事にしたので、来月からまた一年間よろしくお願いします」
和成が手を差し出すと佐矢子は少し目を見張った後、微笑んでその手を握り返した。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「それじゃ私も今月中に仕事を全部片付けます」
「お願いしますね」
そう言って佐矢子は、自分の席に帰っていった。