月下の誓約
慎平がやっと事の重大さに気付いたらしい。
「そういうこと。うちの総大将は中央司令所の戦略主機と言ってもいいかもな。しばらく戦はないと思うけど、定例の軍議で情報処理部隊の強化について提案してみよう」
それを聞いて、慎平がおずおずと尋ねる。
「ちなみに、その提案が承認されたら具体的にはどうなるんでしょう」
「具体策は俺の決める事じゃないからわからないけど、手っ取り早く強化するなら実戦経験を積ませる事だろうから交代で前線に出るようになるかもな」
途端に慎平は顔をひきつらせた。
「やっぱりそれが手っ取り早いですよね。私なんかが前線に出ても足手まといにしかならないような気がしますけど」
慎平の緊張した様子に、和成は少し笑って問いかける。