月下の誓約
言葉を濁す和成に、紗也は頬を膨らませて再び不機嫌になる。
「どうして男の人って都合の悪い事はその一言でごまかすの?!」
説明しようにも和成自身中途半端の意味がわかっていない。
なによりここでいつまでも足止めを食らっている場合ではないのだ。
なにしろ佐矢子から託された仕事がまだ片付いていない。
「それでは、明日午後に城下へご案内いたします。本日はこれで失礼いたします」
紗也の不満を無視して、和成は挨拶と共に頭を下げ戸口へと向かった。
後ろから紗也が不満げに声をあげる。
「えー? 今からじゃないの?」
和成は戸口で立ち止まり、振り返った。