月下の誓約


 戸を閉めようとした時、部屋の中から塔矢が笑いながら声をかけた。


「いくら気になって眠れなくても、真夜中に和成の部屋へ押しかけてはダメですよ」


 紗也は振り返って塔矢を睨みながら、足を踏み鳴らした。


「そんな事もうしないもん!」


 塔矢の笑い声を背に、紗也は足音も荒く自室へ向かう。

 本当は部屋に押しかけて直接問い質してみよう、と少しだけ思っていた。

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