月下の誓約


 和成は吐き捨てるように言う。


「俺が人形なのは”心がない”からだろう? おまえも大概失礼な奴だよな。面と向かってそんな事」

『心がないんじゃなくて、人の心がわかってないって事だよ。自分の心も含めて』

「同じようなもんだろ。ま、佐矢子殿にも機械の人形みたいに見えてたって言われたけどな」

『そら見ろ。俺だけじゃなくて、みんな思ってんだよ』


 勝ち誇ったような右近の声を聞き流して、ふと気付いた。


「そう言えば、彼女おまえに似てるな。妙に勘がいいし。おまえと気が合うかもな」
『じゃあ、紹介してくれよ』
「断る」


 嬉々として言う右近に、和成は間髪入れずに拒否する。

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