月下の誓約
『なんで?』
「俺はダメだけど、代わりにこの人どうですか、なんてできるか。また泣かせてしまうだろう」
『はい。よくできました』
右近が歌うように言った。
和成は顔をしかめる。
「なんだよそれ。からかってるのか?」
『いいや。誉めてんだよ。昔に比べて大分人間っぽくなってきたな』
「俺は元々人間だっての」
『やっぱアレだよな。紗也様に惚れてるって気が付いてからだよな。周りの人間を見るようになったの』
「だから紗也様は……」
「私がどうかしたの?」