月下の誓約
「紗也様。お休みになるんでしたら、お部屋にお戻り下さい」
体重をかけられ、逃げるに逃げられず和成は焦る。
「だって、こんなに暖かくて気持ちいいし、和成といっぱい話ができたから、もういいの」
「よくありません。お目覚め下さい」
和成の説得も空しく、とうとう紗也は目を閉じて、身体の力が全部抜けた。
その拍子に頭が和成の肩から滑り落ち、ひざの上に着地する。
和成はあわてて覗き込んだ。
「大丈夫ですか? 紗也様」
しばらく待ったが返事がない。
恐る恐る指先で頬をつついてみる。
それでも反応がない。
寝たフリではないかと、もうしばらく待ってみたがピクリとも動かない。