月下の誓約
そこへ女官が茶を運んできた。
彼女が茶を置いて下がった後、紗也は部屋の隅に控えていた女官にも席を外すように声をかけた。
電話の操作説明を終え、紗也に促されて一口茶をすすった和成は早速切り出した。
「紗也様、ひとつお願いがございます」
「何?」
「あなたの御身をお守りするため、戦の間は私の指示に従って頂きたく存じます」
「うん。わかった」
また何か反発される事を予想していたので、あまりにあっさり承諾されて和成は拍子抜けする。
「あ、ありがとうございます」
和成が呆けたように礼を述べると、紗也が口を開いた。
「私も和成に訊きたい事があるの」