月下の誓約


「……マジ? 熟睡?」


 和成は後ろの床に両手をついて天井を見上げた。


「信じらんね。無防備にも程があるだろ。ったく、人の気も知らないで」


 自分のひざを枕に眠りこける紗也に視線を戻す。

 不意にイタズラ心が芽生えて、離れた所から小声でからかった。


「もしもーし。そんな所で眠ってると襲っちゃいますよー」


 紗也が気付かずに眠り続けているのがおかしくて、和成は声を噛み殺して笑う。

 おもしろいのでもう一声かけてみた。


「護衛の俺が一番危険な奴かもしれませんよー」


 堪えきれずに声を出してしばらく笑い続けた。

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