月下の誓約


 しかし微動だにしない紗也に少しムッとして、和成は先程より強くゆすりながら大声で怒鳴った。


「いいかげんにお目覚め下さい!」
「も~お。何?」


 さすがに紗也も目を覚まして起きあがる。

 目をこすりながら迷惑そうに見つめる紗也を、和成はさらに怒鳴った。


「どういう神経していらっしゃるんですか。さっきから何度もゆすったり呼んだりしてるのに。ひとの上で熟睡なさらないで下さい! 足がしびれます」

「あーっ!」


 突然紗也が大声を上げたので、和成は思わずひるむ。


「何ですか?」

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