月下の誓約
少し気まずくて、和成は紗也から目を逸らす。
「お戯れを……。私は湯たんぽではありません。塔矢殿に殴られます」
紗也は空き缶を持って笑いながら立ち上がった。
和成も一緒に立ち上がる。
「近い内に、今度こそ城下に連れて行ってね。設定はやっぱりお兄ちゃんと妹で」
「いえ、設定はなくていいですから」
うんざりした様子で目を伏せた和成を、紗也はイタズラっぽく見上げる。
「恋人同士の方がいい?」
「からかわないで下さい」
和成がそっぽを向くと、紗也はおもしろそうに笑いながら顔を覗き込んだ。
「和成の弱み握っちゃったから、どんなわがまま聞いてもらおうかな」