月下の誓約
幕間
1.共犯者
和成が技術局勤務となって二週間が過ぎようとしていた。
技術局は国の最先端技術の研究開発を行っている機関なので、城内では君主の居室の次に安全管理の厳しい区域である。
警備員はいないが、入退室のたびに認証札、暗証番号、瞳の虹彩による生体認証と三段階踏まなければならない。
そのため勤務している職員たちも面倒がってあまり出入りしない。
局内に自動販売機とお手洗いが備えられているので昼食時と仕事を終えて帰る時以外は外に出る必要もないのだ。
和成も兼務していた他部署の仕事を全部切ったので、今は一日技術局にこもりっきりで紗也に会う事はほとんどなくなっていた。
日中には。