月下の誓約
その日和成は早めに昼食を終えて、昼休み半ばに君主執務室を訪れた。
紗也は自室で昼食を摂るので、昼休みには弁当持参の塔矢がひとり執務室にいる。
和成が部屋に入ると弁当を食べ終わった塔矢が茶をすすっていた。
和成は室内を見回して尋ねる。
「紗也様はいらっしゃいませんよね?」
すると塔矢はおもしろそうに笑いながら、からかった。
「なんだ、恋しくて顔を見に来たのか?」
和成は憮然として塔矢を見返す。
「違います。お顔ならほぼ毎日のように拝見してますし」
「どういう意味だ?」
塔矢は訝しげに和成を見つめた。
「それについてご相談したくて来ました」
「まあ、座れ」
塔矢に促されて、和成は予備の椅子を持って来ると、塔矢の机の前に腰掛ける。
そして技術局勤務になってからの事を話し始めた。