月下の誓約


 途端に紗也が好奇心に目を輝かせて詰め寄ってきた。


「違う事って何?」
「なんでもありません」


 それについては追求されたくないので話を切り替える。


「先程おっしゃってた件ですが、ご容赦願います」


 紗也が不服そうに口をとがらせた。


「なんで? 塔矢に殴られるから?」
「それもありますけど……」


 和成は顔を上げて、チラリと紗也を見る。


「けど?」


 紗也が邪気のない目で見つめながら先を促す。
 その目を正視できず和成は思わず顔を背けた。

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