月下の誓約


 ヒュウと冷たい夜風が二人の周りを吹き抜ける。

 和成は一旦紗也から離れ、左手で上着を広げて、その中に紗也を包み込んだ。


「わぁ、あったかーい。上着と和成で二重にあったかーい。気持ちいー」


 上着の中で紗也がはしゃぐ。


「眠らないで下さいよ」
「うん。大丈夫」


 冷え切っていた紗也の身体が徐々に暖かくなってきた。


「確かめたかった事はわかりましたか?」
「うん。突然じゃなくても同じだった」


 紗也の感じた感覚というのは結局なんだかわからない。

 すっかりぬくもりを取り戻した紗也の身体を抱いていると、やはり離れ難くなってきた。


「あの……もう少し、このままでよろしいですか?」

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