月下の誓約
おもしろそうに笑いながら、右近はさらにもう一押しする。
「もっとも、今は少し酔ってるし、手許狂ったらちょっと痛いかもな」
「わかった! 教えるよ! 教えるからもう勘弁してくれよ」
男は泣きそうな顔をして項垂れた。
それを見て和成と右近は、顔を見合わせて笑う。
二人が拘束していた腕を離すと、男は懐から手帳を取り出し、そこに書かれた電信の宛先を書き写して和成に渡した。
和成と右近は同時にそれを覗き込む。
右近が不思議そうに首をかしげた。
「これって、城内じゃないか?」
和成にはその宛先に心当たりがあった。