月下の誓約
和成がそう言うと、紗也は慎平を睨む。
「慎平、ずるい」
「え? 申し訳ありません」
紗也に睨まれ、慎平は理由もわからないままとりあえず謝った。
紗也は次に和成を睨む。
「和成もずるい。どうして私には怒った顔ばっかりなの?」
「あなたが怒らせるからです。あなたがご自身のお立場をしっかりと自覚なさって責務を全うしていただけるなら、私も笑顔で接する事ができるはずです。どうかご理解ください」
頭を下げる和成に、紗也は頬をふくらませた。
「ムカつくーっ! もう、知らない!」
苛々した口調でそう言うと、慎平の横をすり抜け、執務室へと立ち去った。