月下の誓約


 和成が苦笑すると、紗也は机を叩いた。


「競争だったら私も放っとくわよ。雪祭りで灯りの行進を和成と一緒に見ようという計画があるのよ。だから先手を打っとくの。行進のある初日と最終日は終日私が予約ね」

「終日ですか?! 私の一存では……」


 そう言いながら和成は、助けを求めるように塔矢の方を見る。
 すると紗也は皆まで言わせず答えた。


「塔矢はいいって言ったわよ」


 それを聞いて和成は、呆れたように塔矢を見つめる。


「相変わらず紗也様には甘いんですね。終日、私自身と紗也様と二人分の用心をしなきゃならない私の身にもなってくださいよ」

「何を言ってる。それがおまえの仕事だろう」

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