月下の誓約
2.前触れ
昼一に予定通り軍議は始まった。
冬のこの時期、議題に上るのはおよそ軍事とは関わりのなさそうなものばかりである。
除雪作業の分担や雪祭り期間中帰省する砦警備兵の交替要員の確保等々。
一番大きな議題は雪祭りに城が出品する雪像の案だったりする。
会議の席に着いた和成は右斜め前に座る紗也をもの言いたげにまじまじと見つめた。
視線に気付いた紗也がケンカ腰に問いかける。
「何?」
「どうして軍議にあなたが参加していらっしゃるんですか?」
「雪祭りの事話し合うんでしょ? 私がお金出してるんだから運営にも参加したいのよ。悪い?」
「いいえ」
和成が口をつぐむと軍議は始まった。